昨日話したみたいに、親父の遺言書…正確にはひいじいさんの代から受け継いでる万年筆の九十九神が目の前に出てきて、ちゃっかり居座ってる。
いろいろこいつ…って言っちゃいけないな、神様だから。九十九神様に聞いたら、神様になる前は行政書士だったらしい。
若いときは遺言に関する異世界転生もののコラムとか書いてたっていうけど、これこそまさしく転生ものだよな。
あと、これ昨日のスレな。
いろいろ反響も多くて、「兄弟が複数いるけれど、相続の際、手続きはどうなる?」「遺言を書いたら、相続の手続きは簡単になるの?」「相続の際の必要書類、種類が多くて大変そう」「九十九神の写真アップして」とか、いろいろ届いてる。
みんなけっこう遺言書に関心あんのな。
写真は、こいつ…って神様に言っちゃいけないな、この神様が寝ているところを撮ろうとしたら、スマホのカメラがバグるから、たぶんムリw
で、遺言書がある場合の手続きについて、何か質問ある? 俺が九十九神に聞いて答えを伝えるよ。
目次
遺言書と相続人の意思確認
1:もう一度聞くけど、九十九神ってマジでいんの?
俺を信じろ。俺の目を見ろw
2:相続って遺言書がないとできないの?
そういうわけでもない。でも遺言書がない場合は、法定相続人という人に引き継がれるらしい。
3:なにそれ? 甘いの?
スイーツじゃねえw もう少し詳しく話すと、相続開始した時に遺言書がなかった場合には、相続人全員が一緒に相続している共同相続の状態になるわけ。つまり、遺産は相続人全員の共有財産ってことな。
4:遺産って、借金とかも遺産になるんだろ?
詳しいな。確かにプラスの資産だけでなく、マイナスの資産も含めた被相続人の「一切の権利義務」を引き継ぐことになる。うちにはそれはないけどな。
5:ほんでほんで? どないなんねん?
明石家さんまさんみたいに言うなw 遺言書がない場合の相続では、一旦共有で引き継いだ遺産について、相続人全員で「誰が何をどれだけ」引き継ぐのか話し合って意思確認をするわけ。遺産分割協議っていうんだけど、ここで意見を一致させないといけないんだよ。
6:ぶっちゃけ、マイナスの資産って引き継ぎたくないよな
それな! でも、必ず財産を引き継がなければいけないってわけじゃないらしい。相続自体を放棄する「相続放棄」と、プラスの財産の範囲内で相続する「限定承認」という相続の仕方もあるって。
7:誰が言ってんの?
だから、九十九神大先生だよw まとめると、遺言書のない相続のときは、こうなる。
8:もし相続人が1人でもいなかったら遺産分割協議ってできなくね?
そこ大事だよな。行方不明の相続人がいる場合、「不在者財産管理人」という制度があって、家庭裁判所で不在者財産管理人を選任してもらったら、その人が行方不明の相続人本人に代わって手続きしてくれるらしい。
遺産分割協議と遺言書による相続の流れの違い
8:遺産分割協議をしたらどうなるの?
「遺産分割協議書」というのを作成する。言ってみれば、みんなの意見がまとまった合意の証明書だな。で、遺産分割協議書の内容を実行するための手続きをしていくことになる。これがないと、金融機関でもなんでも、「それ怪しくない?合意とれてなくない?」となって、手続きが進まなくなる。
9:遺産分割協議で、意見がガチで割れたらどうなるの?
そこはもう、時間かけてでも一本化していかなきゃどうしようもない。場合によっては何年もかかるケースもあるらしいよ。
10:偽造ってわけにはいかないのか?
いくわけねーだろw 遺産分割協議書は相続人全員で作成するものだから、手続き時に「相続人全員」が誰であるのかについても明らかにしなきゃいけない。偽造とか不正ができる仕組みじゃないよ。
11:やっぱり遺言書があると何かと相続が楽なんだな
そういうこと。遺言書があると、遺産分協議もしなくていいわけだから、じかんがかかることはほとんどない。数か月で手続き完了ってこともザラみたいだな。
遺言書の相続における必要書類
12:遺言者の預貯金を解約するときとか、遺言書だけでできるの?
遺言書だけじゃムリ。ちゃんと書類をそろえる必要がある。遺言執行者がいたら、お願いすればいい。
13:どんな書類がいるの?
預貯金の解約なら、一般的にはこんな感じかな。
預貯金解約の際の必要書類の一例
●共通で必要な書類
・「相続手続依頼書」等、各金融機関独自の書類
・被相続人の除籍謄本
・解約する口座の預金通帳、証書、キャッシュカード等
遺言書がある場合の必要書類
●遺言執行者の指定が「ある」遺言書が存在する場合
・遺言書(公正証書遺言又は検認済証明書のある自筆証書遺言)
・遺言執行者の印鑑証明書
・遺言執行者の実印
●遺言執行者の指定が「ない」遺言書が存在する場合
・遺言書(公正証書遺言又は検認済証明書のある自筆証書遺言)
・当該預貯金の相続人(又は受遺者)の印鑑証明書
・当該預貯金の相続人(又は受遺者)の実印
遺言書がない場合の必要書類
●遺言書がない場合
・遺産分割協議書(相続人全員の実印の押印があるもの)
・被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本、改正原戸籍謄本
・相続人全員の印鑑証明書
・払い戻しを受ける相続人等の実印
必要書類は各金融機関で違ってくるから、各金融機関に確認はしておいたほうがいい。
14:ちんぷんかんぷん
行政書士の友達に聞いてみろw
15:そんな人いないよ
だったら紹介できるぞ。九十九神がおすすめしてくれた行政書士さんがいるんだよ。長岡さんって言ってな。俺もこれから会いに行くつもり。
16:だったら九十九神、いる意味なくね?
そんなこと言ってやるなよw ほら、すねたw
17:預貯金の解約の話に戻るけど、一番やりやすいのはどれ?
やっぱり遺言書がある場合と、遺言執行者がいる場合だな。本人確認をするための印鑑証明書等で足りるわけだし。もっとも、遺言執行者がいない場合でも、預金の払い戻しを受ける相続人(受遺者)を確認できる印鑑証明書等を準備すればいけるんだけどな。
18:うちのじいさんにも遺言書書いてもらおうかな
資産があるなら書いてもらったらいい。どれくらいあるんだ?
19:油田をいくつか持ってるって言ってた
石油王かよ! 今すぐ書いてもらってくれ! そして俺を受遺者のひとりに入れてくれw
遺言書の相続は戸籍の収集は省略できることがある
20:遺言書がないと戸籍の収集がいるの?
そう。けっこう大変みたいだ。被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍を取得するわけだからな。
21:うちのじいさん、戦前生まれなんだけど、昔の戸籍が空爆で焼けたとか言ってたな。
じいさん、長生きでいいじゃないかw 平成6年以降の戸籍は電子データになってるけど、それより前、紙の時代に作られた改正原戸籍も取得しなきゃいけない。もし転籍を繰り返しているとしたら、過去に本籍が置かれたすべての役所に対して戸籍取得の申請をしなきゃいけないんだ。もう財宝探しのレベルだろw
22:俺の財宝か? 欲しけりゃくれてやるぜ…。探してみろ。この世の全てをそこに置いてきた
ゴール・D・ロジャーw よし、それなら、海賊王に、俺はなる!w 『ONE PIECE』知らない人もついてきてw
23:要するに年齢がいけばいくほど、取得する戸籍が複数になりやすいわけだ?
そう。一つの戸籍から判別できるのは、一つ前の本籍地のみですので、戸籍を取得して判別という作業を繰り返す必要もある。
24:仕事しながらじゃムリだな。ワイはしてねえけど。
まず働こうぜw もっとも、言う通り、日常生活に取得作業が入ってきたらかなりの負荷だよな。遺言書がある場合は「相続人が誰であるのか」の書類について省略できるから、手続き時に被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を提出する必要はないんだよ。遺言書がない場合に比べて準備する書類の負担感はだいぶ少なくなるわけだ。ただし、遺言執行者がいる場合は相続人を確定する必要があるから、戸籍は必要みたいだ。だけど全部遺言執行者がやってくれるぞ。
25:手続きの際に相続人の確定が不要になるのは、遺言書のイチオシ要素だね
ほかにも、相続人全員の印鑑証明書の取得は皆の協力が得られなければできないし、遠方に住む相続人がいる場合には、取得のためのやりとりにも時間がかかりまくるから、マジでヤバい。そういうときは専門家に相談するのがベストだな。
遺言書がある相続の際は専門家へ相談
26:専門家って、九十九神?
じゃなくて行政書士さんw 九十九神はさすがに手続きできないからなw できればそこは人類であってほしいw
27:ワイ、人見知りだから緊張する…
さっき話した長岡さんなら大丈夫だよ。めちゃ優しいから。
28:じゃ、明日、がんばって半世紀ぶりに家を出てみる
マジで⁉W もしそうなら、むしろ自分の遺言書を早く書いたほうがいいかもしれんw とりま、応援するわ! じゃ、ほかに質問なさそうだから、これまでな。また何かあったらスレ立てるから! おやすみ!
この記事を詳しく読みたい方はこちら:行政書士が解説!意外と知らない、遺言書がある場合の相続手続②遺言執行の流れ