内容を秘密にしながら遺言書を作りたい、公証役場で作る秘密証書遺言とは?

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内容を秘密にしながら遺言書を作りたい、公証役場で作る秘密証書遺言とは?

「秘密証書遺言とは何だろう」

「遺言書を書きたいのだけれど秘密証書遺言はどうだろう」

「秘密証書遺言について知りたい」

 

とお困りの方がいらっしゃるのではないでしょうか。

普通方式の中の秘密証書遺言は、実務で使用されることはほとんどありませんが、このコラムでは、秘密証書遺言について詳しく解説していきますので、是非最後まで、お読みいただけると秘密証書遺言について詳しくなるでしょう。

 

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そもそも秘密証書遺言とは何か?

秘密証書遺言とは、遺言書の「存在」を証明してもらいながら、公証人、証人、相続人含め

本人以外内容を見ることができないので、遺言内容を「秘密」にすることができる遺言です。

すなわち、存在はわかるが、内容を秘密にする遺言書です。

次に、秘密証書遺言の特徴をみていきましょう。

 

秘密証書遺言の特徴

秘密証書遺言は、遺言の内容自体は秘密にし、その存在を公証人によって公に記録してもらう方法による遺言です。

すなわち遺言書そのものの方式ではなく、遺言書を秘密に保管するための方式であるといえます。

 

次に、実際に、秘密証書遺言のメリットとデメリットについて解説してまいります。

 

秘密証書遺言のメリット・デメリット

メリット

  • 自筆証書遺言と異なり遺言書全文は自書する必要がない。ワープロで作成してもよいし、他人による代筆でもよい。
  • 遺言の内容を秘密にできる。
  • 遺言の変造・偽造を防ぐことができる。

デメリット

  • 方式が複雑で、方式の不備により、遺言が無効になるおそれがある。
  • 隠匿・紛失のおそれがある。
  • 家庭裁判所での検認手続きを経る必要があり、遺言を執行するまで時間がかかることがある。
  • 費用がかかる。

秘密証書作成の公証人手数料は、定額で、1万1,000円である。

(公証人手数料令28条)

引用;遺言執行者の実務153頁

 

秘密証書遺言の作成方法

ここで、秘密証書遺言の作成方法について、見ていきましょう。

4つの成立要件があります。1つずつみていきましょう。

 

①遺言者の署名・押印について

まず、遺言者がその証書に署名・押印することです。(民法970条1項1号)

 

②遺言者の封印について

次に、遺言者がその証書を封じ、証書に用いた印章をもってこれに封印することです。

(民法970条1項2号)③

 

③遺言者の申述について

次に、遺言者が、公証人一人および証人二人以上の前に封書を提出して、自己の遺言書である旨並びにその筆者の氏名および住所を申述することです。

(民法970条1項3号)

 

④公証人の署名・押印について

最後に、公証人が、その証書を提出した日付および遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者および証人とともにこれに署名・押印することです。

(民法970条1項4号)

 

以上のような、成立要件があります。

 

秘密証書遺言を作成する際には、要件を満たしている必要がありますので、注意が必要です。

自筆証書遺言との違いは?

秘密証書遺言の場合、自筆証書遺言と異なり遺言本文はワープロ等で作成してもよく、他人に書いてもらったものでもよい。

ただし、筆者が遺言者自身であればその旨を述べればよいが、他人に筆記させた場合は公証人に筆記者の氏名および住所を申述しなければならない。

遺言者の署名は遺言者自らなすことが必要です。

また、封印に用いられる印は、必ず証書に押印した印と同一であることが必要です。

異なる印を用いたときは、秘密証書遺言として、無効になります。

 

証書中の加除その他の変更(民法970条2項)について

秘密証書遺言の加除その他の変更については、自筆証書遺言の加除その他の変更の規定(民法968条3項)が準用(※1)されます。

※1準用とは・・・ある事項に関する規定を他の類似の事項について、必要な修正を加えてあてはめること。

 

秘密証書遺言が無効でも自筆証書遺言で有効?

民法971条(方式に欠ける秘密証書遺言の効力)
秘密証書による遺言は、前条に定める方式に欠けるものがあっても、第968条〈自筆証書遺言〉に定める方式を具備しているときは、自筆証書による遺言としての効力を有する。

 

と定めています。つまり、秘密証書遺言としての方式を備えず、秘密証書遺言としては、無効であっても、自筆証書遺言としての方式を備えている場合には、自筆証書遺言として、有効になります。

秘密証書遺言を作成する際の注意点

ここで、秘密証書遺言を作成する際の注意点についてみていきましょう。

秘密証書遺言を作成する際の注意点としては、秘密証書遺言は、公証人が遺言であることを確認することから、公正証書遺言の場合と同様に、遺言の偽造や変造のおそれはほとんどありませんが、遺言書の封紙の控えだけが保管されるだけなので、遺言書本体が遺族等の手により隠されたり、破棄されたりしてしまい、遺言の内容が分からなくなる危険性があることに留意する必要があります。

また、遺言の内容が公証人や証人に知られることはありませんが、公証人が遺言の内容に関与しないことから、内容的に問題があっても、その是正に機会が与えられない点が欠点であることを留意する必要があります。

 

〈参考文献〉遺言者の実務(第3版)日本司法書士会連合会編

完全整理択一六法 LECリーガルマインド編著

 

秘密証書遺言を検討している方は一度ご相談ください

今回のコラムでは、秘密証書遺言について解説してまいりました。

秘密証書遺言は、遺言内容を秘密にでき作成できる遺言書ですが、内容に問題があっても、わからず、遺言書自体が無効になる危険性もありますので、作成には注意が必要です。

もし、お困りの方がいらっしゃったら、是非、一度、長岡行政書士事務所にご相談ください。

 

 

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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