遺言書の内容を変えたいときはどうする?失敗しない方法を行政書士が解説!

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【遺言書のキモチ】遺言書作成後に内容を変えることはできるの?

こんにちは、横浜市港南区の行政書士長岡です。今回は作成した遺言書の内容を変えたいときはどうしたらいいのか、説明しようと思います。

突然ですが、身近なモノにもキモチがあると考えたことはありますか?

大切に使われていることを感謝したり、粗雑に扱われて寂しい気持ちになったり。

もしかしたら、これからあなたが書く遺言書にもキモチが宿るかもしれませんね。

おや、ある方の遺言書が語りかけてきましたね。いったいどんなお話を聞かせてくれるのでしょう?

 

こんにちは、わたしは、Aさんの遺言書です。

Aさんが筆を執ってくれたから、私は生まれることができた。

彼が残された家族を大切に思うように、わたしも彼と家族の力になりたい。

でも彼は、病床で、ひとつ心配になっていることがあるみたいなの。

「遺言を書いたはいいけど、書き直したいところが出てきた…けど、そんなことできるのかな?」

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遺言書の内容は変更可能

結論として、遺言書の内容はいつでも変更できます。

 

もちろん白紙に戻して、書き直すことだってできるんだよ。

「そんなことをしたら、君がいなくなっちゃうのでは?」ですって?

ありがとう、優しいね。どんな内容に書き換わっても、わたしはわたし。あなたのそばにいるよ。

でも、ひとつ気を付けて。わたしの姿を変えるためには、守るべきことがあるの。

そのことは行政書士の長岡さんにが教えてくれるよ。お願いね、長岡さん。

遺言書の撤回方法

長岡「では、少しここで説明させてもらいますね。遺言の変更や撤回は、民法1022条では次のように規定されています。撤回したとみなされる行為については、民法1023条で規定されています。まずはこのふたつを見てみましょう」

 

(民法1022条)遺言者は、いつでも、遺言の方式に従って、その遺言の全部または一部を撤回することができる。

 

長岡「民法1022条によると、遺言の撤回は「遺言の方式」に従って行うことができるとされています。つまり、「遺言の撤回をする遺言」を残すというわけです。公正証書遺言を自筆証書遺言で撤回したり、その逆の方法もできるのです」

 

(民法1023条)
1項:前の遺言が後の遺言と抵触するときは、その抵触する部分については、後の遺言で前の遺言を撤回したものとみなす。
2項:前項の規定は、遺言が遺言後の生前処分その他の法律行為と抵触する場合について準用する。

 新しい遺言書を作成する

長岡「まずは民法1023条1項から説明していきましょう。

前に作成した遺言の内容と後から作成した遺言の内容が異なる(=矛盾する)場合は、前に作成した遺言の内容は撤回されたと見なされます。2項では、生前に遺言内容と異なる法律行為があると、その部分についての遺言が撤回され、法律行為が有効となります」

「変えるよ」と言わなくても、新しいわたし(遺言書)を書いてくれたら、それで古い遺言書を撤回できるの。

これは自筆証書遺言でも公正証書遺言でも、どちらでも大丈夫。

遺言内容を撤回する遺言書を作成する

 長岡「遺言の一部及び全部の撤回は、「遺言の方式」に従っていれば問題はありません。では、遺言の内容を全部撤回する場合について、自筆証書遺言、公正証書遺言それぞれの説明をしていきますね。」

【自筆証書遺言の全部撤回】

  • 「令和×年×月×日付自筆証書遺言を撤回する」ことを明記した全文と、日付・署名を自書して押印
  • 自筆証書遺言を自宅で保管している場合は、遺言書を破棄して消滅させることで撤回することもできる

【公正証書遺言の全部撤回】

  • 証人2人及び手数料が必要となる
  • 公証役場と所定の手続きを経て作成する
  • 手元にある遺言は原本ではないため、破棄をしても撤回したことにはならない

遺言内容と異なる法律行為をする

民法1023条2項では、生前に遺言内容と異なる法律行為があると、その部分についての遺言が撤回され、法律行為が有効となります。

たとえば「不動産Aを長男に相続させる」という遺言書を残していた場合に、生前に不動産Aを売却したとしたら、これは遺言内容と異なる法律行為によって、遺言が撤回されたということです。

 

もし内容と違うことをしても、法律によって、書き換わったことになることを覚えておいてくれたら嬉しいよ。

Aさん、そこまではわかってくれたかな?

遺言書の部分的変更方法

でも、体が思うように動かなくて、字が書けないときもあるんだよね…。

そういうときは、代わりに書いてくれる人にお願いするといいんだよ。

少しだけやり方が変わるけど、自分で書くやり方と、代わりに書いてもらうやり方を聞いてみようね。

 

長岡「はい、ではご説明しますね。自分で書く遺言のことを自筆証書遺言といい、代わりに書いてもらう遺言のことを公正証書遺言といいます。公正証書遺言は公証人に作成を依頼するやり方です。」

自筆証書遺言の部分変更方法は3種類

まずは自筆証書遺言を部分的に変更するには、次のようにします。

変更したい部分を直接訂正

民法968条3項で定められている方法で、自宅で自筆証書遺言を保管している場合、その遺言書そのものに手を加えて変更することができます。ただし、訂正方法を少しでも間違えると遺言全体が無効となることもあります。

 

  1. 変更したい場所を消し、その横に訂正後の文書を記載。最後に印鑑を押す。
  2. 欄外に、「~行目、~字削除、~字加入」と記載し、署名する。

 

変更を示唆する遺言書を作成

「令和△年△月△日作成の遺言の□行〇〇〇〇の文章は取り消す」という内容の遺言書を作成すれば、その部分は取り消されます。

 

一部を書き換えて新たな遺言書を作成

一部を書き換えた内容の遺言書を新たに作成すると、新しい日付のものが優先されるため、遺言書の一部を取り消すことができます。つまり、訂正部分について新しい遺言が優先されるため、結果として部分的な変更となります。

 

長岡「では次に、公正証書遺言を変更するケースを見てみましょう。公正証書遺言は、公証役場で保管されています。遺言者の手元にあるのは原本ではありませんので、直接手を入れて訂正することはできません。ですので、新たに遺言を作成することが必要です。そのための文面は次のような内容と注意点になります」

公正証書遺言の変更方法

【部分変更の文面例】

「令〇年〇月〇日作成令和〇年第〇〇号公正証書遺言中、第〇条の「財産〇〇を△△に相続させる」とする部分を撤回し、「財産〇〇を□□に相続させる」と改める。その余の部分は、すべて上記公正証書遺言記載の通りとする。」

 

【部分変更の注意点】

  • 公正証書遺言の変更は、新規作成の手続きと同じく証人2名の立会いが必要
  • 証人は、前回と同じ人である必要はない
  • 公証役場に支払う手数料が必要

長岡「もし変更する箇所が多い場合は、後々混乱を招かないように、全部撤回して、新たに遺言を作成しなおしたほうがよいでしょう。

遺言書は何度でも書き直せる

最後までお読みいただいてありがとうございました。改めまして、長岡です。

遺言書のキモチ、私が責任をもってAさんに届けさせていただきました。

人の思いは十人十色。それだけ遺言書のキモチも数あります。

遺言書は最初に作ったから終わりではなく、時と状況により気持ちも変わっていくものです。

遠慮せずに、今のあなたの気持ちを意思表示することが悔いのない将来を迎えるものと思います。

また別の遺言書が語りかけてきたときには…あなたも一緒に寄り添ってくださるとうれしいです。

この記事で紹介したとおり、遺言書の撤回・変更には色々とルールがあります。すべてのルールを理解していないと、意図しない内容の遺言書を残すことになってしまうかもしれません。

遺言書の内容を直したい、という方も、横浜市の長岡行政書士事務所へお気軽にご相談ください。初回相談は無料で対応しています。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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