自筆証書遺言の検認とは?目的や必要な状況・流れを行政書士が解説!

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自筆証書遺言の検認って何のこと? 検認の目的と具体的な流れを解説!

 

「自筆証書遺言の検認とは聞きなれない単語ですが、説明していただけますか」

「自筆証書遺言を見つけたら、必ず家庭裁判所に検認を頼まないといけないのでしょうか」

「誰が検認を申請することができるのですか」

 

自筆証書遺言は原則として検認が必要ですが、「検認」と聞いてすぐにわかる方は少ないのではないでしょうか。

馴染みがない割には、検認をきちんと行わないと後々トラブルの種になる大切な手続きです。

 

本日は検認とは何かから始まり、検認の目的と手続きの流れを解説いたします。

合わせて読みたい:遺言書を検認する前に注意するべき4つのポイントを紹介します!

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遺言書の検認とは

遺言書の検認とは、遺言書の保管者や発見者が遺言者の死後に家庭裁判所へ遺言書を提出し、相続人立会いのもと遺言書の内容を確認する手続きのことです。

 

民法で定められている手続きであり、民法の条文は以下の通りです。

 

第1004条(遺言書の検認)
1 遺言書の保管者は、相続の開始を知った後、遅滞なく、これを家庭裁判所に提出して、その検認を請求しなければならない。遺言書の保管者がない場合において、相続人が遺言書を発見した後も、同様とする。
2 前項の規定は、公正証書による遺言については、適用しない。
3 封印のある遺言書は、家庭裁判所において相続人又はその代理人の立会いがなければ、開封することができない。
出典:e-Govウェブサイト(民法1004条)

検認の目的

ではいったい何のために遺言書の検認を行うのでしょうか。

検認の目的は以下2つあります。

  • 遺言書の存在と内容を相続人へ知らせる
  • 遺言書の偽造や変造を防止する

遺言書の存在と内容を相続人へ知らせる

自筆証書遺言は故人が自分で保管していたり、相続人のうちの一人が保管していたりと様々なケースが存在します。どこかに遺言書があるかもしれない、あったとしても一部の相続人の間だけで共有されていたら正しく遺言を執行することができません。

 

家庭裁判所という公の機関がその存在と内容を確認することで、遺言書が存在するのかしないのか、どのような内容なのかという点を確定することができます。

遺言書の偽造や変造を防止する

発見された遺言書をそのままにしておくと、発見者が内容を書き換えたり、勝手に破棄をしてしまう可能性があります。家庭裁判所が検認を行うことにより内容が確認されるので、その後の遺言書の偽造・変造を防止することができます。

 

ただ、注意していただきたいのが検認はあくまでも相続人全員に遺言書の存在を知らせ、内容を確認するためのものです。内容の是非や有効かどうかの判断は検認では行いません。

 

よって、遺言書の検認が行われても相続人全員が同意すれば遺言書と違う遺産分割も可能です。ただし、相続人のうち遺言通りの相続を主張する人が1人でもいれば遺言が優先となります。

検認をしないとどうなるか

仮に自筆証書遺言が発見されても検認をしないとどうなるのでしょうか。

遺言書の検認をしないリスクは下記の3つです。

  • 過料という罰金が科せられる
  • 検認済証明書が発行されず相続手続きができなくなる
  • 他の相続人から偽造を疑われてしまう

過料という罰金が科せられる

下記の通り民法1005条の定めにより、遺言書を検認せず勝手に開封すると罰則として5万円以下の過料が課せられる可能性があります。

 

民法第1005条(過料)
前条の規定により遺言書を提出することを怠り、その検認を経ないで遺言を執行し、又は家庭裁判所外においてその開封をした者は、5万円以下の過料に処する。
出典:e-Govウェブサイト(民法1005条)

 

この過料は金銭の支払いが求められますが、刑事罰ではなく行政罰なので前科が付くことはありません。

検認済証明書が発行されず相続手続きができなくなる

遺言書の検認することで検証済み証明書が発行されますが、この検証済証明書がないと不動産の登記や銀行での預金払い戻しなどを行うことができません。

他の相続人から偽造を疑われてしまう

遺言書の検認を受けず勝手に開封しても、遺言書が無効となることはありません。

しかし、ほかの相続人から偽造・変造を疑われる可能性があります。

 

特に遺言書の内容が自分にとって不利だと他の相続人が感じた場合、偽造を疑われ遺言書の無効を訴えられる可能性があります。

検認が必要な状況

遺言書の検認は、すべての遺言書に対して必要なわけではありません。

遺言書が公正証書遺言である場合と、遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言の場合は検認の必要はありません。

 

なぜなら公正証書遺言は公証人が遺言を作成し公証役場にて保管されているため、遺言書の存在と内容は既に確認されています。

また、遺言書保管制度を利用した自筆証書遺言は法務局で保管されているので偽装・変造のおそれがないため家庭裁判所での検認は不要となります。

つまり下記の状況において、検認が必要ということです。

  • 遺言書情報証明書のない自筆証書遺言
  • 秘密証書遺言

検認手続きの流れ

遺言書の検認が完了するまでの期間は、申立てから数週間から一カ月程度かかります。

ここから先は、実際に検認も手続きを開始してから終了するまでの流れをご説明いたします。

  1. 必要書類を揃える
  2. 家庭裁判所へ検認を申し立てる
  3. 家庭裁判所にて検認に立ち会う
  4. 検認済証明書を申請する

 それぞれの手続きについて、詳しくみていきましょう。

必要書類を揃える

検認の申立てに必要な書類は以下の通りです。

  • 申立書(裁判所のホームページからダウンロード可能)
  • 遺言者の出生から死亡までの全ての戸籍謄本(除籍、改製原戸籍含む)
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 遺言書が封印されてない場合は遺言書のコピー

特に気を付けていただきたいのは、相続人によっては本籍が遠方である場合もあり戸籍謄本を集めるのに時間がかかる可能性もあることです。

そのため、相続人が分かり次第なるべく早急に連絡をとり準備するように依頼しましょう。

家庭裁判所へ検認を申し立てる(検認の申し立て)

検認の申し立てができる人は遺言書の保管者または遺言書を発見した相続人になります。

そして申し立て先は遺言者の最後の住所地の家庭裁判所です。

 

遺言者の最後の住所地は、遺言者の除住民票か戸籍の附票の除票などに記載されています。

 

上記1で集めた必要書類を申し立て時に提出する必要がありますが、書類の提出は家庭裁判所への持ち込みもしくは郵送で行うことができます。

なお、検認の申し立てにかかる費用は次のとおりです。

  • 収入印紙800円
  • 郵便切手(連絡用)

家庭裁判所にて検認に立ち会う(検認期日)

家庭裁判所に申し立てを行うと、検認実施日調整の連絡が入ります。

日程調整後、検認期日通知書という正式な検認期日の案内が家庭裁判所より届きます。

なお、申立人は指定日時に家庭裁判所へ赴く必要がありますが、申立人以外の相続人は出席しなくても大丈夫です。欠席することによって相続に関して不利益となることはありません。

 合わせて読みたい>>遺言書の検認は相続人全員が出席する必要がある?欠席したら罰則は?行政書士が解説

遺言書の検認は相続人全員が出席する必要がある?欠席したら罰則は?行政書士が解説

検認期日に家庭裁判所へ行き、相続人と裁判所の職員が立会い遺言書を開封します。

検認にかかる時間は10〜15分程度です。

検認済証明書を申請する

検認が完了すると検認済証明書の申請を行う事ができます。

検認済証明書は金融機関や不動産等の名義変更手続きで必ず必要となります。

 

検認済証明書の申請が終われば、遺言書の検認手続きは完了です。

検認手続きにかかる期間

遺言書の検認手続きは、申し立てから完了までに数週間から2カ月程度の期間が必要です。

さらに、検認申し立てのための戸籍謄本収集などにも1か月程度かかることもあります。

すべての作業をふまえると、遺言書発見から検認完了まで2~3カ月程度はかかると考えておきましょう。

遺言書の検認そのものには期限はないので、発見後速やかに検認を申し立てれば問題ありません。

しかし相続手続きには相続放棄や限定承認、相続税申告など期限が定められているものもあります。

各種相続手続きを滞りなく行うためにも、遺言書を見つけ次第なるべく早急に検認手続きを行うようにしましょう。

遺言書作成・相続手続きは横浜市の長岡行政書士事務所へご相談ください

我々横浜市の長岡行政書士事務所は、相続に係る経験が豊富にございます。

 

過去に自筆証書遺言の作成に関与し、そのまま保管し、保管者として検認に立ち会ったこともあります。

自筆証書遺言の良い点は前述した通り手軽に作成できることが挙げられますが、一方で検認までに時間がかかることもあり、すぐに相続手続きを進められず、死後しばらくのあいだは相続人が預貯金などを受け取れないリスクもあります。

相続手続きのスムーズさを考えると、やはり費用が掛かっても公正証書遺言がおすすめだといえるでしょう。

 

遺言書の作成にしても、推定相続人調査から必要書類の収集、遺言執行手続と専門的な知識や経験が求められる場合が多くあります。

 

円滑な相続を達成するためにも、是非長岡行政書士事務所にご相談ください。初回相談は無料で対応しています。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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