公正証書遺言の作成は誰に相談する?公証人のみに相談するリスクを行政書士が解説!

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公正証書遺言は誰に依頼する?公証人に相談するメリット・デメリットを解説

「公正証書遺言を作るなら、直接公証人へ依頼すべきだろうか」
「公正証書遺言について、誰に相談するべきなのか知りたい!」

複数の種類がある遺言書の中でも、無効になるリスクが低く安全性が高い遺言書として知られているのは「公正証書遺言」です。

公正証書遺言は公証人が作成に携わり、公証役場で保管されるため、作成時には公証人に直接依頼すべきか悩む人も多いでしょう。
しかし実は、公証人にのみ相談することには、いくつかデメリットも存在するのです。
そこで、本記事では公正証書遺言の作成は誰に相談すべきなのか、横浜市で遺言書作成をサポートしている行政書士の目線から解説します。

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公正証書遺言とは

公正証書遺言とは、その名のとおり「公正証書」による遺言のことです。

公証人という専門家が作成してくれるので、無効になる心配が少なく、遺言書を残す方法として推奨されています。(当事務所も、公正証書遺言を残すことをおすすめいています。)

公正証書遺言を活用するメリットの代表例は、次の3点です。

法的に有効な形式で作成できる
公証人が遺言書の内容や手続きをチェックするため、形式不備による無効リスクが極めて低くなります。

遺言書を改ざんされにくい
公正証書遺言の作成後、原本は公証役場に保存、遺言者本人は正本と謄本を保管します。正本は原本と同じ効力を持ちます。

本人確認・遺言能力のチェックが入る
公正証書遺言書を作成する際には、公証人が直接面談して意思確認を行います。認知症などで遺言能力がなかった」と後日争われるリスクが減ります。

そして公正証書遺言を作成する際には、「公証人に直接依頼する」という選択肢もあれば、「行政書士など他の専門家にサポートを依頼する」という選択肢もあります。

公正証書遺言の作成を公証人にのみ相談するメリット・デメリット

それでは公正証書遺言の作成を、公証人にのみ相談する際のメリット・デメリットを見ていきましょう。

公証人にのみ相談するメリット

公正証書遺言の作成について、公証人にのみ相談するメリットとしては、専門家への報酬が不要になることが挙げられます。

行政書士などへ相談すれば、報酬の支払いが必要ですが、公証人にのみ相談する場合は、法定費用のみを支払えば公正証書遺言を作成できます。

関連記事:公正証書遺言の作成費用はどのくらい?行政書士が具体例を解説!

公証人にのみ相談するデメリット

一方、公証人にのみ相談するデメリットとしては、次のような点が挙げられます。

相続内容のアドバイスは受けられない
公証人は中立の立場のため、相続人間の公平や有利・不利についての助言は行いません。

財産調査や文案作成は自分で行う必要がある
公証人に相談しても財産一覧や分け方を考える段階からサポートはなく、事前に自分で下書きを用意する必要があります。

準備や手続きに手間がかかる
戸籍謄本類や印鑑証明書などの必要書類を揃えたり、公証人側との日程調整を行ったりと、自分で気軽に作成できる自筆証書遺言より準備や手続きに手間がかかります。

実際に当事務所にも、「公証人にだけ相談して遺言書作成をしていたものの、具体的なアドバイスがもらえず困った」という声が寄せられることがあります。そのため実務的には、公証人だけではなく、行政書士などの専門家に遺言書内容を相談するのがおすすめです。

行政書士などの専門家へ公正証書遺言の作成について相談するメリット・デメリット

公正証書遺言を作成したい場合、行政書士や弁護士などの専門家に相談することも可能です。専門家ごとの特徴を見てみましょう。

相談や

依頼先

主な役割と得意分野業務範囲
(公正証書遺言における)
備考
行政書士公的書類の作成、書類の収集遺言書文案の作成、必要書類の収集、公証役場との打ち合わせ調整。遺言書作成全般に関する相談が可能 と変更
弁護士法律事務全般、紛争解決(交渉・訴訟)の専門家。遺言書文案の作成、相続人との交渉など。家族同士で揉めている場合や、紛争リスクが高い場合に最適。費用は高めになる傾向。
司法書士不動産・法人登記、供託の専門家。遺言書文案の作成、不動産に関する調査・記載、執行後の不動産名義変更(登記)。不動産が主要な財産である場合におすすめ
信託銀行財産管理や運用、遺言書の作成支援サービスを提供。遺言書作成のサポート、遺言執行者の受任、財産の管理・運用。サービスが包括的で安心感があるが、費用は高額。財産管理を含めた総合的な依頼をしたい方向け。
自治体(法律相談窓口)住民サービスとして法律相談を提供。遺言書作成の一般的な相談。相談時間に制限があり、相談できる内容は限定。具体的な作成サポートは不可。
法テラス国が設立した法的トラブル解決の総合案内所。無料の法律相談、専門家(弁護士・司法書士)の紹介、費用立替(条件あり)。経済的に余裕がない方(一定の資力要件あり)向け。遺言書作成は提携弁護士・司法書士に依頼が必要。

行政書士などの専門家へ相談するメリット

これらの専門家に相談するメリットとしては、次のような点が挙げられます。

個別の事情に合わせた内容のアドバイスを受けられる
公証人は中立な立場で文案を整えますが、専門家は依頼者の家族構成、財産状況、特別な思いなどを踏まえた遺言書を提案できます。

相続トラブルの予防策を盛り込める
遺留分(相続人が最低限受け取れる相続分)の侵害リスクや、将来の相続人間での紛争の可能性を予測し、それを回避するための法的な文言や代償金の支払いなどの具体的な予防策を遺言書に反映できます。

公証役場との調整や手続きを代行してもらえる
専門家は遺言書作成に必要書類の整理やアドバイス、公証役場との日程調整や打ち合わせ、遺言作成時の証人手配といった一連の煩雑な手続きを代行できます。

遺言執行者になってもらうことを依頼できる
遺言の内容を実現するための手続き(預金解約や不動産名義変更など)を行う遺言執行者として、専門家(弁護士、行政書士など)自身を受任してもらうことが可能です。

とくに行政書士は、身近な相談相手として、公正証書遺言作成をサポートしているケースが多いです。

当事務所でも遺言書作成を数多くサポートしてまいりました。
初回相談は無料なので、ぜひ一度お問い合わせください。

行政書士などの専門家へ相談するデメリット

公証人以外の専門家へ公正証書遺言について相談することには、下記のようなデメリットも存在します。

公証役場の手数料とは別に費用が発生する
専門家に依頼する場合、公証役場へ支払う手数料とは別に、専門家に対する報酬(手数料)が発生します。無料の公証役場相談と比べ、トータルの費用は高くなります。

専門家の得意分野や経験値にばらつきがある
相続や遺言書作成を専門としている専門家もいれば、そうでない場合もあります。経験や専門知識が不足している専門家に依頼すると、最適なアドバイスが得られなかったり、作成後の手続きで問題が生じたりするリスクがあります。また、自治体や法テラスへの相談は無料ですが、作成時には別途専門家への依頼が必要です。

相談する際は、その専門家が遺言書作成の実務に精通しているかどうかを確認してみてください。

各相談先別|公正証書遺言の作成に必要となる費用の違いとは?

公正証書遺言を作成する際には、公証役場へ支払う「公証人の手数料」と、専門家へ依頼した場合に発生する「着手金や報酬」の二種類の費用があります。これらの違いを理解しておくことが重要です。

公証人にのみ相談した場合の費用

公証人にのみ相談し、公正証書遺言を依頼すると「公証人・公証役場」への手数料や日当が発生します。

公証人への相談料無料
遺言書作成の手数料財産の価額によって変動する。1億円以下の時は手数料額に13,000円が加算。

参考:公正証書遺言の作成手数料は、どれくらいですか?

電子データの発行手数料正本や謄本を電子データで発行する場合は2,500円が必要
書面の手数料書面の枚数×300円
公証人の日当病院などへの出張費は1日に2万円、4時間以内なら1万円必要

行政書士などの専門家へ相談した場合の費用

公証人以外(行政書士や弁護士など)に依頼する場合は、上記公証人手数料に加え、専門家への報酬が発生します。報酬額は事務所や依頼内容によって異なります。

遺言書作成サポートの報酬相場

  • 行政書士や司法書士:7万円~15万円程度
  • 弁護士 :20万円~30万円程度
  • 信託銀行 :30万円~100万円程度

依頼内容が複雑な場合や公正証書遺言における証人の手配、遺言執行者の受任を依頼する場合は、上記相場に加算費用が発生することがあります。

合わせて読みたい>>公正証書遺言の作成費用はどのくらい?行政書士が具体例を解説!

【行政書士が教える】公正証書遺言の相談先の選び方

遺言書を作成する目的や状況に応じて、相談すべき専門家は変わってきます。ここでは、相談先を選ぶ際のケース別の判断基準を行政書士の視点からご紹介します。

公証人のみへ相談しても問題ないケース

公証人に公正証書遺言の内容を相談することがおすすめされるケースは、主に以下のとおりです。

相続人が少ないもしくは1名の方に財産を遺すケース
相続関係がシンプルで、揉め事の可能性が極めて低い場合、専門家による複雑なアドバイスを必要としないため、費用を抑えられます。

作成のコストを抑えたい
専門家への報酬を避け、公証人手数料のみで安全性の高い遺言書を作成したい場合に適しています。

行政書士などの専門家への相談がおすすめされるケース

公証人以外の専門家へ相談がおすすめされるケースは、主に以下のとおりです。

相続人が複数おり、法的アドバイスを得ながら安全な遺言書を作りたい
複数の相続人がいる場合、遺留分侵害のリスクが高まります。専門家による法的・感情的な配慮に基づいた遺言書の作成が、将来の家族の争いを防ぐ鍵となります。

遺言執行者を指定したい
遺言内容の実現を確実にするため、専門家自身を遺言執行者として指定したい場合、直接依頼することでスムーズに手続きが移行できます。

遺贈についても相談したい
法定相続人以外へ財産を贈りたい場合(遺贈)は、手続きや法的な影響が複雑になるため、専門家の正確なアドバイスが必要です。

遺言書作成は実績豊富な横浜市の長岡行政書士事務所にご相談ください。

公正証書遺言は自筆証書遺言よりも安全性が高く、公証人への無料相談の上で作成することも可能です。しかし、公証人は形式上の不備の有無などのアドバイスしかできないため、個別の事情も反映した安全な遺言書を作りたい場合には、公証人以外の専門家への相談がおすすめです。

横浜市の長岡行政書士事務所では、お客様一人ひとりのご事情を丁寧にヒアリングし、法的に有効で、かつご家族の絆を守るための最適な遺言書作成をサポートしています。

公正証書遺言の実績も豊富ですので、まずはお気軽にご相談ください。

 
行政書士 長岡 真也
この記事の執筆・監修者:長岡 真也(行政書士)
神奈川県行政書士会所属(第12091446号)
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